フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

 フランス語の慣用表現「椅子の棒の人生を送る⇒ 放蕩生活を送る」

  Pour dissiper la rancœur qui l’assaillait, il rit, d’un rire pénible.

ー C’est simple, n’est-ce pas ?  Un homme qui a mené une vie de bâton de chaise et qui a signé des chèques sans provision…

(©Georges Simenon : L’Affaire Saint-Fiacre; Chap.6) 

 

 彼を悩ませた怨恨を紛らわすために彼は笑った。苦渋に満ちた笑いだった。

「そりゃ単純ですよ、そうでしょ? ふしだらな生活を送って、不渡り小切手を出した男ですよ。」

(#14『サン・フィアクル殺人事件』第6章)

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小切手の不渡り回避のためにモーリスは何とかしなければならなかったが、土壇場で4万フランが手に入った。意外なことにその金を用意したのは教会の司祭だった。

 

Pour dissiper la rancœur(プーディシペ・ラランクー)恨みを紛らせるために(不定形)

*rancœur n.f. 遺恨、怨み

 

qui l’assaillait < assaillir(キラサィエ)彼を悩ませた(半過去形)

 

il rit < rire(イルリ)彼は笑った(単純過去形、現在形と同形)

 

d’un rire pénible(ダンリール・ペニブル)苦渋に満ちた笑い

 

C’est simple < être(セサンプル)それは簡単だ(現在形)

 

n’est-ce pas ? (ネスパ)ですね?

 

Un homme qui a mené une vie de bâton de chaise < avoir, mener(アンノム・キアムネ・ユヌヴィ・ドゥバトンドゥシェーズ)輿を担ぐ棒の生活をしてきた男⇒ ふしだらな生活をしてきた男(複合過去形)

*mener une vie de bâton de chaise(慣用表現)ふしだらな生活を送る(由来は不明)

**bâton de chaise(王朝時代に貴人を乗せるために使われた輿の梶棒)

***chaise  n.f. 椅子、輿

 

Crédit photo : Chaise à porteurs d'époque Louis XV @Vikidia

https://fr.vikidia.org/wiki/Chaise_%C3%A0_porteurs

 

*参考サイト:コトバンク 輿舁(こしかき)

https://kotobank.jp/word/%E8%BC%BF%E8%88%81-2038313

 

et qui a signé < avoir, signer(エ・キアシニェ)そしてサインをした

 

des chèques(デシェク)小切手

*chèque sans provision 不渡り小切手

sans provision(サンプロヴィジォン)残高不足、備蓄のない