フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「5秒で⇒ そそくさと」

ー Quant au docteur, je parierais qu’il galope à travers les salles pour expédier en cinq sec sa consultation du matin.

(©Georges Simenon : Le fou de Bergerac; Chap.4) 

 

「医者のほうと言えば、午前の診療を手早く済ませるために病室を駆けまわっているだろうと思うよ。」

(#16『メグレを射った男』(ベルジュラックの狂人)第4章)

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Quant au docteur(カントードクトゥー)医者に関しては

 

je parierais que < parier(ジュパリエレ・ク)私は~だと確信する(条件法・現在形)

 

il galope à travers les salles < galoper(イルガロプ・アトラヴェーレサル)彼は病室を駆けめぐって

 

pour expédier(プーエクスペディエ)済ませるために

 

*en cinq sec(アンサンクセック)そそくさと、手早く(慣用表現)

辞書では形容詞の sec の項目に掲載されている。その直訳では「乾いた5で」で全く意味不明。

ネット検索で見つけた語源の説明では、en cinq secondes 「5秒で」seconde(秒)の省略形が sec. 19世紀に流行したカードゲームの一つに5秒で「手早く」上がることが競われたことから由来するらしい。

 

**C’était moins cinq. 直訳で「それは5より少なかった」⇒「もうちょっとで危ないところだった。」(別の慣用表現)

 

sa consultation du matin(サコンシュルタシォン・デュマタン)午前の診察