フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「長い火をする⇒ 不発に終わる」

  L’autre nageait. Il n’avait plus aucun espoir d’épater son collègue. Son histoire avait fait long feu.

(©Georges Simenon : Un crime en Hollande; Chap.7) 

 

 もう一方は当惑していた。彼にはもはや仲間をたまげさせる望みはなくなっていた。手柄話は不発に終わったのだ。

(#08『オランダの犯罪』第7章)

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*刑事は、その日の朝に海軍兵学校の生徒コルネリウスから発砲直後の目撃情報を聞いたので、寄航した船の船員が過去の何らかの恨みを晴らすために犯行に及んだと解釈した。しかしメグレはその説明に不満の様子だった。

 

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Crédit photo : L’écran sur Youtube

Téléfilm “Un crime en Hollande” de “Les enquêtes du commissaire Maigret” 

© Antenne 2, 1976; ©INA - Institut National de l'Audiovisuel

 

*L’autre nageait < nager(ロートル・ナジェ)もう一方は当惑していた(半過去形)nager v.i. 泳ぐ、浮かぶ、困惑する

 

Il n’avait plus aucun espoir de < avoir(イルナヴェプリュ・ゾーキャン・エスポワール・ドゥ)彼にはもはや~する望みはなくなっていた(半過去形)

 

épater son collègue(エパテ・ソンコレーグ)彼の仲間をたまげさせる

 

*Son histoire avait fait long feu < avoir, faire(ソンニストワール・アヴェフェ・ロンフー)彼の話は不発に終わった(大過去形)ここでの histoire は事件を一気に解決したという手柄話ということ

**faire long feu(慣用表現)直接的な意味は「なかなか点火しない」⇒「不発に終わる」「なかなか発射しない」「失敗する」

***ne pas faire long feu 「長続きしない」