フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「急いで軽い食事をする」

ー Qu’est-ce que vous me voulez, mon bon ? (---) J’ai juste le temps de casser
la croûte sur le pouce dans le quartier avant l’ouverture des portes.  À moins
que vous mangiez un morceau avec moi ?  À la Chope Montmartre, par
exemple ?
(©Georges Simenon : Maigret et son mort; Chap.9) 

「どうして欲しいんだね、あなたは?(---) ちょうど今から開場前にこの辺で手短に軽く食事をしようと思ってましてね。一緒にいかがです?例えばショープ・モンマルトルとかで?」
(#55『メグレと殺人者たち』第9章)

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チェコ人の男と一緒にいた美人は、フォリー・ベルジェールの踊り子と判明した。メグレは支配人のマルシャンに電話して話を聞きに行くことにした。
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Crédit photo : Vue des Folies-
Bergères, Paris 9e
© Google street-view

Qu’est-ce que vous me voulez <
vouloir(ケスク・ヴムヴレ)あなたは私に何を望むのか?

*mon bon(モンボン)ねぇあなた、君(親しみを込めた呼びかけ)
ma bonne(女性の場合)

J’ai juste le temps de < avoir(ジェジュスト・ルタンドゥ)ちょうど~する時間がある

*casser la croûte(カッセ・ラクルート)直訳では「固くなったパンをほぐす」⇒粗末な食事をする、小腹を満たす

*参考再出:(メグレ美術館)ピカソとメシを食ったよ
 j’ai souvent cassé la croûte
casser la croûte(カッセラクルゥト)現代の日常では「おやつを食べる」「小腹を満たす」などに使うが、昔の食うや食わずの状況下では「粗末な食事をする」「メシを食う」などで使った。
croûte  n.f. パンの固い皮、パンくず、パイ皮

*sur le pouce(シュールプス)直訳では「親指の上で」⇒急いで食べる 

dans le quartier(ダンルカルチエ)その地区で⇒この辺で 

avant l’ouverture des portes(アヴァン・ルヴェルチュール・デポルト)劇場の開場前に

À moins que(アモヮンク)少なくとも 

vous mangiez un morceau avec moi < manger(ヴマンジエ・ザンモリソー・アヴェクモヮ)私と一緒にちょっと食べたらどうかと(条件法)