フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

メグレ警視の食卓「イタリアン前菜盛り合わせとミラノ風スパゲティ」

 Il avait remarqué, devant elle, une dizaine de raviers de hors-d’œuvre. (---) Il se tourna vers le maître d’hôtel qui s’était approché.
ー Donnez-moi des hors-d’œuvre aussi, puis un spaghetti milanaise.
(---) On apportait des spaghettis pour Maigret, des raviolis pour Martine Gilloux, qui avait un fiasco de chianti devant elle.
ー Vous permettez ?
 Ses préoccupations ne l’empêchaient pas de manger avec appétit.
(©Georges Simenon :Un échec de Maigret; Chap.5)

 彼女の前に10余りの前菜の皿があるのがわかった。 (---) 彼は近寄ってきた給仕長の方を振り向いた。
「私にも同じ前菜をくれ、それからミラノ風スパゲティだ。」
(---) メグレにスパゲティが、マルティーヌ・ジルーにはラヴィオリが運ばれてきた。彼女の前にはキアンティの瓶があった。
「よろしいですか?」
 彼女には気がかりな事ではあったが、食欲をそがれることはなかった。
(#76『メグレの失態』第5章)

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*殺されたフュマルの愛人マルティーヌの居所を訪ねたメグレは、彼女が凱旋門の近くのイタリアンで昼食をしていることを聞き出した。一人で食べていた彼女の前の席にメグレが座り、食べながら話をすることにした。

Il avait remarqué < remarquer(イラヴェルマルケ)彼は気づいていた、注目していた(大過去形)

devant elle(ドゥヴァンテル)彼女の前に

*une dizaine de raviers de hors-d’œuvre(ユヌディゼーヌ・ドゥラヴィエ・ドゥオードゥヴル)10あまりの前菜の皿  ravier(ラヴィエ)n.m. 特に前菜用の皿
**イタリアンの前菜は「アンティパスト」(antipasto)と呼ばれ、何種類もの前菜料理を少しずつ皿に盛り合わせて供される。antipasto を画像検索するとカラフルな盛り合わせが見た目にも華やかに出てくる。

Il se tourna vers le maître d’hôtel < se tourner(イルストゥルナ・ヴェー・ルメートルドテル)彼は給仕長の方を振り向いた(単純過去形)

*qui s’était approché < s’approcher(キセテ・タプロシェ)近寄ってきた(複合過去形) s’approcher=近づく approcher=近づける、寄せる

*un spaghetti milanaise(アン・スパゲティ・ミラネーズ)ミラノ風スパゲティ イタリア語では「ミラネーゼ」
イメージ 1

Crédit photo : Spaghetti sauce à la
milanaise @Food Reporter

On apportait des spaghettis pour <
apporter(オンナポルテ・デスパゲテイ・プー)~にスパゲティが運ばれた(半過去形)ここの spaghetti はなぜか複数形?

*un fiasco de chianti(アン・フィアスコ・ドゥ・シアンティ)キアンティの瓶 下膨れの独特な瓶の形で、藁が巻いてある
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Crédit photo : Chianti Cecchi DOCG Flask
@amazon.uk

*Vous permettez ?(ヴペルメッテ)よろしいですか?、失礼します(頻用句) このセリフは、食べ始めるときにメグレが言ったのか?食卓上のワインを自分も飲んだので言ったのか?

Ses préoccupations ne l’empêchaient pas de < empêcher(セプレオキュパシォン・ナンペシェパ・ドゥ)彼女の心配事は~を妨げなかった(半過去形)

manger avec appétit(マンジェ・アヴェカペティ)食欲旺盛に食べる